videonewscom

videonewscom

世界を救う前に「誰のためにどう生きるか」を考えてみる

Video Type
ショート
Published at
2026年6月7日 08:30
Views
1947
Likes
61
コメント数
-
エンゲージメント率
3.1%
データ確認日時
2026年6月10日 05:25

動画概要

公式サイトで完全版をチェック▶https://www.videonews.com/marugeki-ta...
マル激トーク・オン・ディマンド 第1312回(2026年5月30日)
『世界を救う前に「誰のためにどう生きるか」を考えてみる』

 月の5回目の金曜日に特別番組を無料でお送りする5金スペシャル。今回は映画特集をお送りする。

 今回取り上げたのは次の3作品。いずれも、人は何に価値を見出して生きるべきなのかを問う秀作だ。
・『プロジェクト・へイル・メアリー』(2026)
・『サンキュー、チャック』(2026)
・『誰だって無価値な自分と闘っている』(2026)

 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、太陽光の減衰によって滅亡の危機にある地球を救うために駆り出された天才的な分子生物学者グレースが主人公。学界から追放され中学教師をしていたグレースは、人類を救うため、片道分の燃料だけを積んで宇宙に送り出される。旅の途中で、同じく母星を救おうとする異星人ロッキーと出会い、協力関係を築いていく。

 当初は人類を救うために行動していたグレースだが、ロッキーとの出会いによって、彼にとって大切なものが変わっていく。作品は、人類のためという大きな理念より、目の前にいるかけがえのない誰かの存在にこそ、人が命を懸ける価値があるのではないかと問いかける。

 『サンキュー、チャック』は、あらゆる災害に見舞われ滅亡の危機にある地球で、「ありがとう、チャック」という謎の広告があちこちに現れるところから始まる。そのチャックとは一見どこにでもいる普通の会計士だ。しかし映画は、そんな平凡な1人の人間の人生がいかに価値あるものかを描き出していく。限られた人生の中で、人や社会にどう評価されるかではなく、「どう生きるか」を選び取ろうとするチャックが、生の喜びを解き放つように踊り出すシーンは圧巻だ。その生は終わりへ向かうからこそ、いっそう鮮やかに輝きを放つ。

 韓国ドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』では、映画監督を目指して20年間デビューできないファン・ドンマンが自身の無価値さと必死に闘う。ドンマンを疎ましく思う周囲の映画監督仲間たちもまた、それぞれ複雑な感情や劣等感を抱えている。中には、ドンマンが監督デビューを果たせば自分が最下層に転落してしまうのではないかと恐れ、現状に安心している者さえいる。他人との比較や序列の中で価値を証明しようともがいていた人々が、最終的には自分自身の価値と向き合うことになる。

 ファン・ドンマンやプロデューサーのピョン・ウナは、感情が表示される「感情ウォッチ」という特殊な機械を身に着けている。「不安」「羞恥」「嫉妬」などネガティブな感情は人間関係の軋轢や社会的な立場への不安から生まれる。一方で「安心」などのポジティブな感情は、社会的な成功とは関係なく、誰かに受け入れられ、愛されていると感じたときに現れる。どんなに社会的な成功を収めてもそれだけで人は満たされるわけではないことも作品は示している。

 この社会では「みんなのために頑張れ」「評価されて上に行け」と言われ続ける。しかし、3作品が描くのは、そのゲームの空しさだ。本当に価値があるのは世間の評価でも社会的地位でもなく、たった1人の他者との関係で、「この人のためなら命を懸けられる」と思える存在がいるかどうかなのではないかを、この3作品は問うている。

 3つの作品を題材に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

part2はこちら
   • 宮台真司×神保哲生:【5金スペシャル映画特集Part2】世界を救う前に「誰のためにど...  

【プロフィール】
宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

#マル激 #神保哲生 #宮台真司 #プロジェクトへイルメアリー #サンキューチャック #誰だって無価値な自分と闘っている
世界を救う前に「誰のためにどう生きるか」を考えてみる